[著者紹介ボックス]
- 著者:奥崎慎太郎(おくざき しんたろう)
- 肩書:株式会社SOFI 代表取締役 / コードアシスト主催
- 経歴:治療院・サロン特化Web制作 350社支援・15年・大阪市北区(梅田)
- 関連:mosak.org(個人公式) / codoctor.net
奥崎慎太郎の経営哲学|小さく始めて、大きく組織化する10年計画
【結論先出し】
- 私は「個」で勝つことを30歳で諦めた。だから今がある。
- 仕組み・仕組み・仕組み。組織化は「型」を3階層で積むこと以外にない。
- 数字を共通言語にすると、人は勝手に動き始める。失敗を許容すると、人は勝手に挑戦し始める。
私は奥崎慎太郎、大阪堺市で株式会社SOFIを経営している。2010年に26歳で独立して、今年で15年。Web制作の現場で350社以上を支援してきた。一人で月商200万円を作っていた時期もあったし、組織化に失敗してメンバーが全員辞めた時期もあった。
この記事は、自慢でも成功談でもない。同世代・同じ規模感の経営者・個人事業主に向けて、私が15年で本当に学んだ「経営の型」を書く。きれいごとは書かない。失敗の話のほうが多くなる。
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H2-1:「個」で勝つことを諦めた話
私は30歳まで、自分の手で稼ぐことに完全に依存していた。
当時の働き方は、こんな感じだった。
- 朝6時起床、コーヒー飲んで7時から作業
- 午前中はLP制作、午後は商談、夜は広告運用とメール返信
- 日曜の夜にカレンダーを見ると、平日が打ち合わせで埋まっている
- 月商は180〜220万円、粗利率は90%(ほぼ自分の労働)
数字だけ見れば、個人事業主としては悪くない。でも私の中身はボロボロだった。
理由は3つある。
1つ目、「休めない」こと。連休に旅行に行っても、パソコンを持っていく。お客様からのLINEに即返信しないと、案件が逃げる気がしていた。
2つ目、「成長しない」こと。自分の能力以上の仕事を取れない。月商の天井が見えてしまう。1日24時間は、誰にとっても24時間だ。
3つ目、「面白くない」こと。これが一番効いた。同じLPを300本作っても、自分の中で何も積み上がらない感覚があった。
転機は2020年、私が30歳のときだ。父が大病をして、私が実家のことを完全に動かさないといけない時期があった。3週間ほど現場を離れて、戻ったら、案件が4件飛んでいた。約60万円の損失。
このとき私は気づいた。「自分1人で売上を立てる構造は、人生の他の責任と両立できない」。35歳、40歳になったとき、家族が大事になるとき、親の介護が必要になるとき、自分の体が言うことを聞かなくなるとき、この働き方は破綻する。
そこで「個」で勝つことを諦めた。これが私の経営哲学の出発点だ。
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H2-2:組織化の型|仕組み・仕組み・仕組み
「組織化しましょう」と言うコンサルは多い。でも、何を、どの順番で、どう作るのか、具体的に教えてくれる人は少ない。私が15年で導いた答えは、こうだ。
組織化は3つの「仕組み」で出来ている。
仕組み①:受注の仕組み(営業を属人化させない)
個人事業主時代の私は、自分が話せば成約する状態だった。これは強みであり、最大の弱点でもある。「私がいないと売れない」会社は、組織化できない。
私が作ったのは、こんな順番だ。
- 商談の録画を全部残す
- 成約・失注の理由をスプレッドシートに記録
- 「成約しやすいヒアリング順序」を3パターンに型化
- 商談用のスライドと言い回しをテンプレ化
- 私以外の人が、テンプレを読みながら商談する
これで、私が商談しなくても成約率が35%取れるようになった。私が出ると55%、誰でも出ると35%。20ポイントのギャップは、私の人格的なものなので、これは諦める。代わりに「商談数を倍にする」ほうが事業全体は大きくなる。
仕組み②:制作の仕組み(品質を属人化させない)
Web制作は職人仕事だ。これを否定する気はない。でも、職人が10人いる会社と、職人が1人で他は作業者の会社では、後者のほうが安定する。
私が型化したのは、
- ヒアリングシート(治療院用、サロン用、クリニック用、飲食用に分岐)
- ワイヤーフレーム雛形(業種別に7種類)
- デザインルール(フォント・色・余白・写真選定基準)
- 公開前チェックリスト(87項目)
- 引き継ぎ資料の標準フォーマット
これを全部Notionに集約して、新しい外注パートナーが入ったとき、3日で戦力化する状態を作った。「奥崎にしかできない」を「SOFIなら誰でもできる」に変える。これが組織化の本丸だ。
仕組み③:運用の仕組み(数字を属人化させない)
一番難しいのが、運用の仕組みだ。広告運用、MEO、保守、改善提案、これらは経験で精度が変わる。
私が作ったのは、「数字レポートのテンプレ」だ。お客様には毎月、同じフォーマットでレポートが届く。
| 指標 | 先月 | 今月 | 増減 | コメント | |---|---|---|---|---| | サイト流入 | 1,234 | 1,498 | +21% | – | | お問い合わせ | 12件 | 18件 | +50% | – | | 広告CV単価 | 3,800円 | 3,200円 | -16% | – | | MEO表示回数 | 5,432 | 7,891 | +45% | – |
このフォーマットがあると、運用担当が誰でも、同じ品質のレポートを出せる。お客様は数字で判断できるので、「奥崎さんに頼みたい」が「SOFIに頼み続けたい」に変わる。
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H2-3:数字を共通言語にする
組織化で最も効いたのは、「数字を共通言語にする」ことだった。
私が外注パートナーや社員と話すとき、感情で話してもうまくいかない。「もっと頑張ろう」「お客様のために」では、何をどう改善すればいいか分からない。
私が導入したのは、シンプルな3つの数字だ。
経営の数字(毎週月曜の朝礼で全員に共有)
- 今月の売上着地予測
- 粗利率
- 月末時点の現金残高
このうち、特に「粗利率」と「現金残高」を全員に見せたとき、驚くほど行動が変わった。「外注費を3万円下げる工夫」「お客様への提案単価を1万円上げる動き」が、自発的に出てくる。
数字を見せると、人は責任を持ち始める。「奥崎さんが頑張ってる」のではなく、「自分たちで会社を作っている」感覚が生まれる。
案件の数字(毎日Slackで自動配信)
- 当日の商談数・成約数
- 進行中案件の納期遅延ステータス
- お客様からの未返信メール件数
これも、誰が何をボトルネックにしているかが見える。経営者の感情ではなく、数字でPDCAが回る。
個人の数字(月1回の1on1で確認)
- 担当している案件数と粗利貢献
- お客様からの満足度スコア
- 今月学んだスキル・読んだ本
ここまで来ると、人事評価も納得感のある数字で決まる。「なんとなく頑張ってる」が「具体的にこの数字を作った」になる。
数字は冷たく見えるが、実は最も公平な共通言語だ。私はそう確信している。
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H2-4:失敗を許容する文化
これが、私が15年で一番痛い目を見たテーマだ。
組織を作り始めた最初の3年、私は失敗を許せなかった。納品にミスが出ると、私が直接指摘した。広告のCV単価が悪化すると、原因究明会議を開いた。気持ちは「品質を守りたい」だったが、結果として何が起きたか。
メンバーが「ミスしないこと」を最優先にし始めた。挑戦しなくなった。新しい提案が出てこなくなった。私が指示したことだけを、確実にこなすチームになった。
ある日、優秀な外注パートナーが辞めるとき、こう言われた。「奥崎さん、ここではミスが怖くて、新しいことが提案できないんです」。これが、私の経営哲学を根本から書き換えた瞬間だ。
私が変えた3つのルール
- 失敗の報告には「ありがとう」と返す:早く報告するメンバーほど評価する。隠さない文化を作る。
- 同じ失敗を3回までは許す:1回目は学習、2回目は仕組み化、3回目で初めて指摘する。
- 挑戦して失敗したコストは経営の責任:成功した利益は会社のもの、失敗の損失は私のもの、と明言する。
この3つに変えてから、メンバーから提案が増えた。新しいサービスメニュー、新しい業種への展開、新しい外注パートナーの紹介。これらは全部、現場から上がってくるようになった。
経営者の仕事は、「正解を出すこと」ではなく、「正解が出やすい環境を作ること」だ。これも、私が15年かけて学んだことの一つだ。
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H2-5:FAQ|10年後に残したい組織像
Q1. SOFIを将来どんな会社にしたいですか?
私のいない瞬間に、最も価値が出る会社にしたいです。私が現場を離れている週のほうが、お客様満足度が高い。これが理想です。今の到達度は、正直まだ60%くらい。あと5年で90%まで持っていきたいです。
Q2. 売上規模はどのくらいを目指していますか?
具体的な数字より、「粗利率45%以上、継続契約MRRで月商の60%以上、社員1人当たり粗利月100万円以上」という3つの指標を経営の北極星にしています。これが揃っていれば、売上規模はあとからついてきます。
Q3. 採用で大事にしていることは?
「数字を見られる人」「失敗を素早く報告できる人」「業種への興味がある人」の3つです。スキルは入社後に伸ばせますが、この3つは入社時に持っていないと、組織の文化と合いません。
Q4. 個人事業主が組織化を始めるタイミングは?
月商150万円を半年以上維持できた瞬間です。それより早いと、組織化のコストが事業を潰します。それより遅いと、自分の体力で天井に当たります。私自身、ちょうどそのラインで外注パートナー1人目を採用しました。
Q5. 経営で一番大切にしていることは?
「逃げない」ことです。お客様からのクレーム、メンバーとの摩擦、銀行との交渉、税務、すべてから逃げない。経営者が逃げた瞬間、組織の信頼は崩壊します。逆に、逃げないと決めるだけで、ほとんどの問題は解決します。これが15年の経営で得た、ただ一つの確信です。
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著者プロフィール
奥崎慎太郎(おくざき しんたろう)
株式会社SOFI 代表取締役 / コードアシスト主催。 1990年2月17日生まれ、大阪市北区在住。2010年にWeb制作で起業し、現在まで15年。治療院・サロン・クリニック・飲食・建設業を中心に350社以上のホームページ制作・LP設計・MEO・広告運用を支援。
「個」で勝つことを諦めた30歳の経験から、組織化と仕組み化を経営の中心軸に据える。「奥崎にしかできない」を「SOFIなら誰でもできる」に変えることに、15年かけて挑み続けている。著者個人の発信はmosak.orgで行っている。
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構造化データ(JSON-LD)
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